シュミエイガ

映画の感想・連想・妄想ついでにイラスト:履歴書の趣味欄は映画鑑賞だった

みかんの丘:なんだか背中が気になって

助けた兵士2人は敵味方

戦闘から逃れて人々が去ってしまったミカン畑のある村で、みかんの収穫に勤しむマルゴスと、みかんの木箱を作り続けているイヴォは、2人の負傷兵を助ける。互いに敵意を漲らせる兵士2人と老人2人が共に時を過ごすうちに・・・

 未承認国家と呼ばれている「アブハジア共和国」

アブハジア共和国のことを初めて知った。この映画で描かれるアブハジア人がジョージアからの独立を求めた紛争(1994年に停戦合意)のこともだ。イヴォとマルゴスはエストニア人の農民、ジョージア人の兵士、アブハジア側の傭兵のチェチェン人、そしてアブハジア人兵士、ロシア人兵士も登場する。

それぞれの関係性は予備知識なく見ても大体分かったけれど、後で少し調べました。
こんなふうにいろいろなことを知るきっかけをくれるのも映画の良さだ。

みかんが腐るのが嫌なように人が死ぬのも嫌なのだ

命を落とした人間を埋葬し、怪我をした人間を助けるという平時では普通の行動を、危険を犯して行うイヴォとマルゴス。「みかんが腐るのが嫌」とマルゴスがいうが、同じような感覚かな。

イヴォの料理

慎ましい生活の中でも怪我人に精を付けようと、イヴォが並べる料理が美味しそうだ。

具だくさんスープを皿に盛った後、イヴォは仕上げのひとつまみをパラパラと散らして食卓に置く。あの一皿を食べてみたい。山盛りの茹で卵(殻をむいてあるんだ)を一つ手に取ってかじりついてみたい。人の幸せって食卓の上にあるのかも。

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どの映画のセリフだっけ?

敵対していた兵士たちはやがてお互いを尊重するようになるのだけれど、みていて別の映画のセリフを思い出した。記憶にあるのは「話せば分かってくれる」「いや一人一人なら大丈夫だが、集団になった人間にはムリだ」みたいなことを2人が話すシーンだ。

一つのテーブルに集った個人同士なら分かり合えても、国や民族、宗派を背負うと身動きが取れなくなる。

悲しいことに、覚えているのはおぼろげな雰囲気だけで、タイトルも具体的なシチュエーションもあやふやだ。たぶん共感したから印象に残っているはずなのに、思い出せなくて気持ちが悪い。やっぱり見た映画のリストだけでも作っておくべきかな。

なぜか並んだ背中のシーンが気になる

並んだ背中をとらえたショットがある。エストニア人の医者とイヴォとマルゴスの3人の背中。ベンチに座るイヴォとマルゴス2人の背中。互いに話をしていたような、していなかったような。

なぜだか彼らを背後からとらえたカメラの視点を、自分の視点のように「意識」してふと我にかえったというか、映画の外に出てしまった。なぜだろう。

映画にはないけれど、無言でひとり、庭のベンチに座るイヴォの後ろ姿を勝手に想像してしまう。

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シワとヒゲが素敵なイヴォなのだ

ちょっとだけ戦闘シーンはあるけれど、映画自体は温かな余韻で終わるので、戦争映画が苦手な人でも大丈夫だと思う。

 

2013年 Mandariinid エストニア・ジョージア